第160回直木賞候補であり屋大賞ノミネート作品の『熱帯』を紹介します。
評価はまちまちで好みに左右されるようですが、ぜひ読んでみてもらいたい作品です。
あらすじ
本作の冒頭では作者である森見登美彦氏が登場し、幻の小説『熱帯』について語る場面から始まります。
森見は学生時代に『熱帯』を手に入れたが、読んでいる途中で失くしてしまい読了できなかったと言います。
それ以降、あらゆる方法で『熱帯』を探したが、ついに見つけることができなかったのです。
そんなあるとき森見登美彦は「沈黙読書会」という謎の同好会に参加することになります。
同好会では、各メンバーが本にまつわる謎を持ち寄って話し合いが行われているのだと言います。
森見は、ある女性が抱えてる本に気が付きます。
そう、長年追い求めていた『熱帯』です。
そして、女性は語り始めます。
『熱帯』がなぜ幻の小説となったのか。
どうして誰も読み終えることができないのか。
そしてどのようにして『熱帯』が誕生したのか。
物語は現実と非現実を行き来しながらその謎に迫っていきます。
世紀の奇書『熱帯』に惹かれ、秘密を解き明かさんと集まった“学団”による追跡劇。
謎の奥から立ち現れる新たな謎。
ストーリーにちりばめられる『千一夜物語』『ロビンソン・クルーソー』『宝島』『海底二万海里』といった本の数々。
物語の舞台は、奈良、京都から東京へと!
感想
『熱帯』という本を巡る小説。
前半は現実世界、後半はファンタジーの世界の話。
物語から物語へ話の展開を想像しながら、わくわく読み進めいけるが、森見作品を読んだことのない人には、かなり想像力が必要です。
ハードルが高い気がします。
ペンギンハイウェイなどとは若干異なり、難しいのです。
とはいえ読書好きの私には本を読む楽しさを久々に味わえた作品。
本を読むとは、伝えるとは、書くとは森見なりの思いがたくさん詰まってるんじゃないかなと思いました。
森見 登美彦 (もりみ とみひこ )さんについて
- 生年月日:1979年1月6日
- 出身:奈良県生駒市
- 2003年『太陽の塔』、日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。同作品は、本屋大賞2位にも選ばれる。